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伊崎の棹飛び 伊崎寺で毎年8月1日の千日会に行われる棹飛びは、水面から数メートルの高さに突き出した棹の突端から琵琶湖へと飛び降りる雄壮な行事です。長きにわたって地域の人々から親しまれているのはもちろん、全国的にも知られ、伊崎寺の代名詞ともいえます。
伝承では1000年近く続いてきたといわれており、文献的にも16世紀にはすでに行われていたことが確認されています。




(上)伊崎寺境内図 (下)伊崎寺境内図 部分 1791(寛政3)年(伊崎寺蔵)


一人の行者が棹の先端まで歩き湖に飛び込むというのは、「捨身(しゃしん)の行」、つまり報恩や他者救済のため、自らを犠牲にして仏道を求める修行の姿です。行者は人々のさまざまな願いを背負っています。棹というのはいわば「人生」、行者は多くの願いを背負いながら先まで歩き、自分の身よりも人々の願いのためにわが身を捨ててそこから飛び込み、そしてまた陸に帰る=生まれ変わります。この行は「再生」の意味合いも持っているのです。
同じような「再生」の考え方は比叡山の回峰行にもあります。比叡山の東塔は現在、西塔は過去、横川は未来、そして坂本の日吉大社をお参りして、再び山へ戻る=再生するのです。そうした行者の「行」としての意味合いも「棹飛び」にはあります。




当日は、まず本堂において、百日回峰行者の出仕による大般若経転読法要が営まれ、それに続いて棹飛びが行われます。午後はお斎のご接待を挟んで、護摩供が奉修されます。
またこの日は、沖島の漁師の方々に舟を出していただき、参拝者の方々からくじ引きで30人の方に乗船してもらい、湖上からお参りいただいています。

毎年 8月1日 厳修

午前11時   大般若経転読法要
正午ごろ   棹飛び
  
午後2時    護摩供



ご注意:現在は一般の方の飛び込みは禁じています

行事継承の意味で、以前はいろいろな方に飛び込んでいただいた時期もありましたが、
現在では百日回峰行を満行した行者の「行」として、行者だけが飛び込むという形をとっています。